耕地整理のすんだ、広い水田地帯の伊手集落から車道を歩き始めた。
家の数に比べてずいぶん土地が広い感じがする。
土地も暮らしも、豊かなところなのだろうと想像された。
車道が登りにかかったところに、馬頭観音と山神の石碑。
山神の方は、文化年間の年号が読みとれた。
ゴミを捨てるなという立て札がいくつもあるが、道路下はゴミでいっぱいだ。
雑木の中にアカマツ、モミが点在。
スギ、ヒノキの植林も多い。
散歩していた人に「どごさ行ぐ?」と声をかけられた。
鹿狼山までというと、「けっこう大変だ」といっていた。
県境の福田峠から山道に入る。道標なし。
すぐにブル道が縦横に走る新しい植林地となり、破線路の踏みあとは消滅。
ブル道と踏みあとを拾いながら本日最初のピーク、五社壇へ。
展望など全くないが、山頂の日だまりには、石祠がひとつと風化した石造物が4つ、置かれていた。
祠には新しいサカキが供えられており、お祀りは続けられているようだ。
小休止ののち、鈴宇峠へ向かって急降下。
道はないが、植林地の境界になっているのでわかりやすい。
新しい植林地では、タラノメが大群生していた。
鈴宇峠は、両側から荒廃した林道が通じている。
ここから鹿狼山への破線路は道形は残っているものの、ササや樹木が繁茂した廃道。
ここが廃道でないつもりで来てしまったので、予定通り行った。
倒木が少ないのでいくらか助かったが、相当難儀な道だった。
鹿狼山への急登にかかる手前で、丸森町大内からの登山道に合流。
やっとヤブから解放された。
登りついた鹿狼山は、とてもいいピークだ。
スギの大木があるが、展望はとてもよい。
東側、眼下には蒼い太平洋。
西側は、低山のかなたに冠雪した蔵王連峰。
風は冷たいが、軽装のハイカーがひきもきらない。
山頂の鹿狼山神社は木造のしっかりした社で、風化した神像が三体、わきを固めていた。
一段下がったところには、小さな足尾神社。
こちらには、たくさんのはさみが奉納されていた。
少し下ったあずまやの横に、鹿狼山登頂636回(月詣53年)という黒沢正造氏(88歳)奉納の鳥居。
一番見晴らしのよいところには、福島県知事佐藤エイサク氏の登頂記念碑。
いろんなものがあるなあ。
たっぷり大休止したあと、大沢峠に向かって下山。
またも登山道からはずれて、東北電力の新地火力発電所から来る送電鉄塔へ。
鉄塔巡視道なので、ヤブはなく、自転車をデポした大沢峠まではすぐだった。
前日に、丸森町の青葉温泉星雲閣に泊まりました。一泊二食付きで8000円。清潔な浴槽は気持ちよかったです。